穢れた手のひらに自責の念を

 ――記憶の水底から引きずり出したそれが、不意に目の前に現れるようになった。  赤く染まる目の前の光景。至るところから漂ってくる焦げた匂い。頭に響くような断末魔に、逃げ回る為の足音が鳴る。それらが暗鬼達の声で掻き消される…

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言葉の息をも戻すほどに

 生温い舌が首筋を這う。その感覚は擽ったいようで、しかし確かに擽ったさとは別の感覚であることは間違いない。上手く装飾を避ける器用さに理性を感じながら、背筋を這う妙な違和感に体が強張っていく。  言葉はない。装飾を避けた唇…

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月夜の下で、愛を紡ぐ

 特に何かがあったわけでもない。普段通り暗鬼を倒し回り、白夜城周辺の街で買い物を済ませ、巨像内の手入れを手伝い――一部では訓練に勤しみ――、派遣から帰ってきた光霊達を迎える。夜が更けていけば早々に眠る者と、未だ夜を楽しむ…

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